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切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」

「紙の歳時記 夏【6】茶」
 切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_20501363.jpg 茶摘みは八十八夜の頃が盛りである。かっては和紙を張り合せ柿渋を塗って補強した茶袋があったが、今はポリエチレンフィルムやアルミ箔を貼り合わせた紙袋である。
茶道において紙に関係があるのは「懐紙(かいし)」と「風炉先屏風(ふろさきびょうぶ)」の茶道具。懐紙の関係は深い。
 懐紙は、懐に入れて携帯するための小ぶりで二つ折りの和紙のことである。茶道の席や会席料理など改まった席などで使用される紙。亭主側が用意するのは稀で客側が持参し使うためものである。茶会の場において使用するというときになって、懐から取り出して使用する。
切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_20534115.jpg 茶席において様々に使われるが、主な用途をみると以下の通り。
受ける《出される菓子を取り分ける際に、客側が手元の皿代わりに用いる。使った箸を拭う。》
拭う《薄茶では飲み終わった後に茶碗の飲み口を指でぬぐい、その指を懐の懐紙で清める。濃茶の場合は、茶碗の飲み口を直接懐紙で、または小茶巾と呼ばれる専用の布や紙でぬぐう。》
包む《菓子を食べきれない時は、懐紙に包んで懐や袂にしまう。》
懐紙のサイズは男性用が約18×21 cm程度、女性用が約15×18 cmのもの。色は白が多い。
切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_8273185.jpg 風炉先屏風は、広間の点前の際に道具畳の向こう側に置く2つ折りの屏風のこと。これを置くことによって、道具を引き立てる意味あいがある。高さ2尺4寸、片幅3尺5分、五分角、鳥の子白張、蝋色縁のものを基本とし、これを利休形と呼ぶが、実際には多種多様なものがある。なお幅に関しては、利休形は京間の畳に合うように作られており、中京間、江戸間の場合は、その幅にあわせて作られる。
 切手「日本茶800年記念」は、平成27年度に宇治市など関連地域が「日本茶の歴史散歩」として日本遺産に指定されたことを記念して発行された。この地域は、約800年間にわたり最高級の多種多様なお茶を作り続け、日本の特徴的文化である茶道など、我が国の喫茶文化の展開を生産、製茶面からリードし、発展をとげてきた歴史が残っている唯一の場所である。お茶が中国から日本に伝えられて以降、京都を始めとして日本の茶生産地では、お茶の生産技術を向上させ、茶の湯に使用される「抹茶」や「煎茶」、高級茶として世界的に広く知られる「玉露」などを生み出した。
切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_20495715.jpg 茶の3大生産地は、「静岡/静岡茶」「鹿児島/かごしま茶」「三重/伊勢茶」。宇治茶(奈良)、八女(福岡)茶狭山茶(埼玉)などの銘茶もある。
  静岡は、 明治維新のころ、徳川藩士などによる牧之原台地の開墾により、日本一のお茶生産地となり、現在では全国の約4割を生産する大産地。 川根・天竜・本山などの山間地は、気象条件に恵まれた高品質のお茶の産地として有名である。松尾芭蕉の句に「駿河路や花たちばなも茶のにほい」がある。
切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_20491531.jpg 「日本最古の茶園」 京都高山寺は日本ではじめて茶が作られた場所として知られる。禅師が宋から持ち帰った茶の実を山内で植え育てた。「日本最古之茶園」碑が立つ現在の茶園は、もと高山寺の中心的僧房があった場所と考えられている。現在も、5月中旬に茶摘みが行われる。 茶室の切手として「明々庵」がある。明々庵は茶人として知られる松江藩七代藩主松平不昧公の好みによって建てられ茶室。茅葺の厚い入母屋に不昧公筆の「明々庵」の額を掲げ、茶室の床の間は、五枚半の杉柾の小巾板をそぎ合わせた奥行きの浅い床で、また二畳台目の席は中柱もなく炉も向切りといった軽快なものとなっている。
切手に見る紙のお話(64)「紙の歳時記 夏【6】茶」_b0089323_2048203.jpg 菓子いえば和菓子ならお茶が付きものだ。1984年東京・明治神宮外苑絵画館前で開催された第27回全国菓子大博覧会を見物してサンプル菓子を食べ歩いた記憶がある。甘党としては目が離せない。全国菓子大博覧会は、和菓子を中心に、洋菓子・スナック菓子等も含めた日本最大の菓子業界の展示会である。全国菓子工業組合連合会が主催している。1911年(明治44年)、東京都港区赤坂/溜池で、第1回「帝国菓子飴大品評会」が行われたのが始まり。開催は不定期。「和菓子のオリンピック」と呼ばれている。

参考資料 web 「お茶百科」「日本茶800年」「明々庵HP」「高山寺HP」
        「wikipedia《全国菓子大博覧会》」

*1948~49 産業図案切手「茶摘み」
*1991.10.8 日本茶800年記念「茶の花と茶器」
*1990.5.2  ふるさと切手「静岡・八十八夜」
*1997.4.25 ふるさと切手「静岡・茶摘み」
*2001.3.21 ふるさと切手「島根・茶室明々庵」
*1984.2.24 第20回全国菓子大博覧会記念「和菓子と茶筅」
by god-door70 | 2016-07-02 22:27 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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