切手に見る紙のお話(31) 年賀切手に描かれた郷土玩具と和紙Ⅱ (五箇山和紙)

b0089323_14453854.jpgb0089323_14444933.jpgb0089323_14483714.jpg年賀切手に描かれた郷土玩具と和紙Ⅱ
(五箇山和紙)

五箇山和紙は、富山県の五箇山で生産される楮を原料とした和紙(五箇紙ともいう)。五箇山は、世界遺産に指定された合掌づくりの集落で有名な富山県南砺市にある平家落人の里である。古くから都の文化が伝えられていた村落でもある。五箇山の手漉和紙は、かつては この地域で煙硝とならび極めて重要な産業として位置られていた。その起源については定かではないが、天正年間に加賀藩の初代藩主前田利家に五箇山和紙十束を献上したという記録が残っており、この和紙産業が古くからの伝統産業であったことがうかがわれる。江戸時代には、加賀藩の手厚い保護を受けて発展した。
 明治三年の廃藩置県までは加賀藩の指定産物として百数十戸の家が、きわめて良質の和紙を作っていたのであるが、以後、藩の保護政策を絶たれた五箇山製紙業は衰退の道を辿ることなった。しかし、明治後半に大判製紙法を採り入れて生産向上をはかるとともに、製法、用具等の技術的改善に努め、五箇山和紙に対する評価が高まった時期もあった。
 戦後は、激変した生活様式の変化と洋紙の大量生産・生産技術の進歩におされ、和紙の需要は激減してしまった。昨今は芸術、工芸、建築などの素材として和紙の特徴を生かした需要も増加し、和紙に対する認識の高まり、認識にも変化がみられる。そうした事態にのぞみながらも、五箇山の村里では長い伝統の技が保ち続けられ五箇山和紙は、八尾和紙、蛭谷和紙とともに「越中和紙」の名で国の伝統的工芸品に指定されている。
 五箇山和紙の特徴は、原料の楮にある。楮は、繊維が長く強いのが特徴。他の代表的な和紙の原料、ミツマタ、ガンピと比べても倍近くの長さがある。特に五箇山の和紙は楮の量が多いため、紙の強さでは折り紙つき。また、繊維が柔らかいので紙もしなやかで、温かみがある。その伝統と素材の強みを更に生かすため、20数年前に開発されたのが年賀切手デザインとなった「紙塑(しそ)人形」である。和紙を粘土状にしてオリジナルデザインに成形、乾燥後に和紙を貼り着色を施す。貼り子と異なり、中まで和紙が詰まっている。
b0089323_15204737.jpg 世界遺産で一躍有名になった合掌造りの民家の窓は紙の障子戸だけで、昔は雨戸などが無かった。五箇和紙の強さを利用して人々は風雪に耐え、ガラス戸や照明器具がない時代「障子ごし」に大切な照明をとっていた。
 近年でも、五箇山和紙は、桂璃宮の障子紙をはじめ、宮内庁や上野国立博物館などに保管される国の重要文化財の補修用に、なくてはならない存在になっている。
 (参照資料)WEB富山県の和紙、五箇山の里、越中和紙など


*切手メモ:1992.11.16 平成5年用年賀切手「干支のにわとり2種(41円、41+3円)」
   「太鼓乗りにわとり2種(62円)、62+3円」1993.1.18 お年玉小型シート(41円、62円)
     1999.2.16 「日本の民家シリーズ」第5集:「富山県五箇山・岩瀬家80円」
by god-door70 | 2012-03-10 16:00 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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