切手に見る紙のお話(51)紙の歳時記(新年【7-1】扇)

紙の歳時記 (新年【7-1】扇)
b0089323_103979.jpg 扇は涼をとるためのものとして始まった。もとは団扇の形であったが、折りたたみのできる形となった。はじめにヒノキの薄片をつづり合わせた檜扇ができ、その後に紙扇ができてこの2種類が形式・用途において主流である。
 日本の扇は、中国大陸には北宋の時代に伝わった。以後多くの日本の扇が中国へ渡るが、中国においても日本の扇に倣い、折りたたみのできる紙貼りの扇が作られるようになった。また16世紀に入り日本とポルトガルとの交易が始まると、日本の扇も中国で作られた扇とともにヨーロッパに伝わり、ヨーロッパでは貴族の女性の持ち物として、日本や中国のものとは違う独自の様式の扇が作られた。
b0089323_10434255.jpg 扇面についてみる本来は「糊地」という加工した和紙を貼るが、合成繊維や布を貼ったものもある。この扇面に絵を描く必要から、湾曲した形状の紙に描く、扇絵と呼ばれる日本画の形式が発展した。この扇絵を得意としたのが、俵屋宗達であるといわれている。
 檜扇は、宮中で用いられた木製の扇のことで、ヒノキの薄板20~30枚の一方をとじ他方を糸につらねて開閉できるようにした板扇である。女性の用いるものは特に袙扇とも呼ぶ。紙製の扇(蝙蝠扇)はここから派生し、紙には鳥の子や色紙などが使われた立派なものから次第に簡素な普段使いの扇が使われるようになった。
b0089323_20392582.jpg 宮中行事で使用される皇族女性用は、39枚の檜材の柾目挽きの扇に、松と梅の糸花を飾り6色の糸で綴じたものを用いている。切手図案の檜扇は、皇后陛下が御結婚の際、お手に持たれたもので、檜の薄板を綴じ連ねて作られた扇で胡粉(白)地に梅、竹及び尾長鳥が描かれ、美しい糸花を付け、飾り糸が垂らされている。
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参考資料
 平凡社「大百科事典」
 Wikipedia 「扇」、「檜扇」 
web 「日本郵便切手情報2009年度」

右上*2012.10.25発行 伝統工芸シリーズ大集 「京扇」 
左上*1974.10.9発行  万国郵便連合100年記念 俵屋宗達「牛追い図」
左中*2009.4.10発行  天皇皇后両陛下ご成婚50年記念
by god-door70 | 2016-05-24 20:56 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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