切手に見る紙のお話(48)紙の歳時記(春【1-1】) 紙風船

紙の歳時記(春【1-1】) 紙風船

梶よう子著「迷子石」を読んでいたら「富山の薬売りは懸場(得意先)に赴くと、薬と一緒におまけを置いてくる。子どもには紙風船などの玩具、大人には錦絵版画だ。その錦絵版画が売薬版画とよばれているおまけだ。諸国の風景画や、芝居画などで、お客には好評なのだそうだ」とある。紙と風船の関連を切手を探った。
b0089323_2263695.jpg 風船は、紙やゴム、ビニールなどで作られた袋の中に気体を入れて膨らませて使われる玩具である。気体が水素やヘリウムといった浮揚性のあるガスの場合には、さらに持ち手となる糸やリボンを装着する。 紙風船は、紙製の中空の玩具で空気を吹き入れて手で打ち上げて遊ぶ玩具。角風船や紙手鞠などの紙風船はゴム風船同様、富山売薬をはじめ配置薬の行商人が子供におまけとして配ることがあった。
 紙手鞠は、空気玉とも呼ばれ、花びら状の半透明なグラシン紙を球状に貼り合わせ、天地に丸い紙を貼り合わせた素朴な伝統的玩具。天地の片方には空気穴があり、息を吹き入れて膨らませる。
 角風船は、雁皮紙などの薄い紙を貼り合わせて作られた四角い風船のこと。富山売薬では広告や漫画の刷られたものが配置薬の行商人が子供におみやげとして配られたが、角風船の張り手の減少とともにゴム風船にとって代わった。
 折り紙の風船は、和紙などの折り紙を折ることで作られる四角い風船のこと。
b0089323_10211281.jpg  熱紙風船は大きい紙で作られた袋の口の中央に燃料などを付けた布などを固定して点火し、熱気球の原理で飛ばす風船のこと。中国、台湾では天灯、タイ王国ではコムローイと呼ばれ、アジアの祝祭行事に飛ばされることが多い。
 日本では秋田県仙北市(西木町上桧木内)で毎年2月10日に行われている上桧木内の紙風船上げの行事が有名である。上桧木内の紙風船上げは、100年以上の歴史を持つ伝統行事で仙北市の無形民俗文化財に指定されている。従来、上桧木内では習字用の半紙程度の小さな和紙を使用して紙風船を作り、五穀豊穣、家内安全を願う規模の小さな小正月行事のひとつであった。近年、巨大化が進み従来の半紙ではなく、幅1メートルほどの業務用和紙を貼り合わせて作っており、大きいものでは長さ12メートルに達する巨大な円筒形構造のものもある。上部は熱気が逃げないように厳重に和紙で封を施し、下部は直径1メートルから3メートルほどの竹で出来た輪を取り付け、この輪に紙風船の揚力源の石油を浸み込ませた布玉を固定して完成する。打ち上げでは熱気が充満すると紙風船は膨れ上がり、描かれた願い事や武者絵、美人画などが、灯火の明かりにより和紙をすかして浮かびあがる。
b0089323_1074271.jpg

(余談)金沢で味一筋に歩む和菓子処、菓匠 高木屋が「紙ふうせん」という菓子を販売して好評をえている。PRによると「色とりどりのまあるい最中に、ぶどう、レモン、ワイン、黒糖風味の和風ゼリーが入っています。パリッとした皮とやさしい甘さのゼリー・・・新感覚の和菓です。」とあり、5色の折り紙付き「紙ふうせん」の折り方がついています。

*2015.9.18発行 童画のノスタルジーシリーズ「ロンバーちゃんとふうせん」
*2007.2. 1発行 フレーム切手「冬の秋田」の「上桧木内の紙風船上げ」
*1979.8.24発行 日本の歌シリーズ「夕焼けこやけ」

参考資料
web 「仙北市」「菓匠 高木屋」
wikipedia 「西木の冬祭り 紙風船上げ」
by god-door70 | 2016-05-11 10:11 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
<< 切手に見る紙のお話(49)紙の... フラワーアレンジメント#66「... >>