切手に見る紙のお話(58)「紙の歳時記 新年【6】双六」

「紙の歳時記 新年【6】双六」

b0089323_950477.jpg 2016.4.20囲碁棋士井山裕太が七冠(棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段)を達成した。七大タイトル戦が行われるようになった1976年以来初の七冠だそうだ。
 日本では盤上で競う代表的遊戯に「双六」「将棋」「囲碁」がある。紙との関連を探ったが、「将棋」では縁台将棋に持ち出される紙製将棋盤程度で、「囲碁」については特段の関連は見出せない。
「すごろく」は、サイコロを振って、出た目に従って升目にある駒を進めて上がりに近づける盤上遊戯であるが、盤の違いで「雙六」と「双六」に分かれる。一般的に、盤すごろくb0089323_10243774.jpgが「雙六」で、絵すごろくが「双六」と称される。
切手デザインでは雙六盤を挟んで二人の女性が遊び一人が盤上をのぞき込んでいる。「鳥獣戯画」の第1巻に猿が雙六盤を担いでいる絵があり、駒や賽を入れているのだろう包みを持った猿が描かれている。
 木の板や石に盤面を彫った遊戯盤から、紙の生産と印刷技術の発達によって「絵双六」とb0089323_102561.jpgいう現代でも見ることが出来る形式に変遷してきた。起源は江戸時代の初期が通説。遊戯史学会会長の増川宏一氏は、双六を娯楽性・鑑賞性・教訓性・広告性・賭博性の5分類して性格付けている。テレビの普及や携帯・スマホ・パソコンなどの電子機器の発達によって独り遊びゲームが増えたことや核家族や家族数の減少も加わり「絵双六」での遊びは魅力を失った。遊び方は、5世紀の東ローマ帝国の記録にもあるという世界最古のレースゲームは一辺の紙屑のごとき存在なってしまった。
 双六は主に草紙屋と本屋が出版していた。制作工程には違いがないが、紙の調達には苦労があったようだ。戦前に付録で最も双六を大量に扱っていた講談社は、戦後一時期用紙が制限され販売数量縮小や、用紙入手困難で発売を中止したこともあったとの講談社社史に記載がある。

《余談》
 2016.6.29日経新聞朝刊「平城宮役人、すごろく好き? 朝鮮式さいころ発見か」によると、朝鮮半島のすごろく「ユンノリ」用のさいころとみられる棒を奈良市の平城宮跡で発掘した、と奈良文化財研究所がその成果を発表したことを報じた。「ユンノリ」は朝鮮半島の伝統的なすごろくで、盤上の円周上に升目を作り、側面を削った4本の棒を投げ裏表の組み合わせで進む数を決めるルール。棒は、木の枝を用い太さ約1cm、長さ約6cm。側面を平に削り断面はかまぼこ形になっている。

参考資料
 増川宏一著 ものと人の文化史79「すごろく」法政大学出版局
 2009.1.30 産経新聞「世界最古のレースゲーム」
 Wikipedia 「すごろく」

上*1994.10.6 国際文通週間 「双六」
中*1994.10.6 国際文通週間 「将棋」
下*1994.10.6 国際文通週間 「囲碁」
by god-door70 | 2016-06-17 15:41 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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