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紙がない時代の書写材料(5-終)***********************************
[その他の書写材料] 東アジアでは、竹は大切に育てられた植物のひとつである。これを割れば細い短冊状の板(竹簡)(左・図1)となり、幅は細いが1行程度の字を書くことが可能である。ひもを通して綴じれば1冊の手帳ができるので、書写材料として用いられることとなった。
木製のものは木簡と呼ばれた。木簡は板の表面を平らに削れば簡単に作れ,竹の少ない地方で重宝がられた書写材料であった。しかし、竹簡・木簡は1枚に書ける行数が少なく、重く嵩張る欠点があった。そこで、紙以前の書写材料としては最良とされたのが絹である。絵や図を描ける幅広があり、にじみが少なく、細字も書くことができた。ただ、高価であることが最大の欠点で、一般民衆には広く普及しなかった。
そのほか、インド、セイロン、ビルマなどではヤシ科のシュロの葉(右・図2)、タイではタリポットヤシの葉、メキシコではイチジクの木の樹皮というように木の葉や樹皮が書写材料として使われたところも多かった。
ニュジーランドでこの国最高峰クック山の氷河を見に行った時に、ガイドが登山途中で裏が白い葉を取って、「先住民であるマリオ族が紙の代わりに使っていた葉」と説明していた。樹の名前をたずねたら、翌朝「Senecio rufiglanndulous var rufiglomdlous」なるメモをくれたが、不勉強でまだ調べていない。学名なのかチンプンカンプン。どなたか教えて!
(図1) 竹簡(中国・1996年)
(図2) ヤシ科のシュロの葉(ラオス・2003年)