切手に見る紙のお話(15) 折り紙・希代の名作「折り鶴」 (3)

折り紙・希代の名作「折り鶴」 (3)
<W杯で舞った折り鶴の紙>
b0089323_20554578.jpg 2002年開催されたサッカーワールドカップ閉会式でブラジル・カナリア軍団のカフー主将が黄金のトロフィーに口づけして、梅雨の夜空に高々と掲げると、全国約3,000校の小中学生が協力して折った約270万羽の色とりどりの折り鶴がひらひらと舞った。正に、折り鶴のシャワー。そして31日間にわたるサッカーの祭典は幕を閉じた。
b0089323_2143178.jpg サッカーW杯(右:図1)閉会式で夜空に舞った折り鶴の素材としての紙は、静岡県長泉町にある薄葉紙の生産を得意とする会社で生産された。
 皮革製品などを大切に包装するカラーラッヒッングペーパーと呼ばれている薄用紙で1㎡の重さが19㌘(新聞用紙は50㌘弱)。270万羽の折り鶴が空から舞い降りるイベントに採用されたのは、この紙が薄くて軽く、耐空時間が長い点が評価されたことによる。ファンシーペーパーと呼ばれるデザイン性の高い特殊印刷用紙。30色のカラーバリエーションからレモン、レッド、オレンジ、アイス、スカイ、レタス、ピーチ、ローズの8色(下右)が選ばれ、FIFAのロゴが全面印刷(下左)された。紙の「薄さ」ゆえに印刷にあたって給紙、裁断など各印刷工程でスペシャリストの数々のアイデアが必要だったようだ。静電気の発生を抑える工夫、印刷スピードの調整、小さいFIFAのロゴへの対応、印刷インキへの配慮、裁断の工夫など。色むらもなく、美しく均一な印刷された折り鶴のための紙には隠れた苦労があったようだ。確かに、紙は薄い。
 W杯のロゴを印刷し、18㌢四方に切断、イベントに参加する全国3,000にのぼる小中学校などへ配布され、折り鶴は生まれた。舞った折り鶴を手にとってみると、口先、尾、翼の先端の処理がなかなか難しかったことがうかがえる。折り鶴を平和への祈りを込めて作った小中学生も大変だったことだろう。b0089323_12101998.jpg
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 (図1) 2002FIFAワールドカップ記念(日本:2002年)
by god-door70 | 2006-10-10 21:04 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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