切手に見る紙のお話 (20) 紙 衣・紙布(4/ 終)

紙 衣・紙布(4/ 終)
b0089323_21363856.jpg 奈良・東大寺(図1)で行われる祈祷行事のひとつに「二月堂(右)のお水取り」がある。奈良に春を告げる伝統行事であるが、この行事の際に修行僧がまとう着物は、紙の衣である。紙衣は、和紙を修行僧自身が一針一針縫い上げて作った衣で、仏の戒律にかなった衣料として、1000年以上も前から使われているという。使用される和紙は、宮城県の南端・白石市で造られる「白石和紙」である。
b0089323_21391675.jpg 白石の和紙は、紙子(かみこ)と紙布織り(しふおり)という日本和紙使用の紙衣料を産出する一大産地だった。江戸時代には、伊達政宗の領地で、葛粉、生糸、和紙、紙布、紙衣、紅花などの産物があり、特に和紙、葛粉は品質が優秀で全国に知られていたようだ。その和紙を使った衣類、つまり紙衣(かみごろも)や紙子(かみこ)と呼ばれる加工品や、和紙を糸にして織り上げる紙布織りといった、独特の紙文化を発展させ、現在、生産額はわずかだが、「ふくよかに、きよく、うるわしい」みちのく紙の伝統」をそのままに、漉き続けられている。
b0089323_21375775.jpg 紙を夜具にしたものは「紙衾(かみぶすま)」といった。多くは貧しい人たちが使用し、中にわらや綿などを入れたりして作り、寒さをしのいだ。丈夫な和紙だからこその世界でも珍しい発想だろう。
 松尾芭蕉(図2,3)の俳句に、 《いくとせの寝覚え思へる紙衾》 というのがある。書物では、「紙衾の記」を美濃・大垣滞在中に書いている。

 (図1) 第2次世界遺産シリーズ第7集①(東大寺大仏殿) (2002年)
 (図2) ふるさと切手・三重①(松尾芭蕉と伊賀上野城) (2002年)
 (図3) ふるさと切手・三重②(伊賀上野城と俳聖殿) (2002年)
by god-door70 | 2006-12-25 22:05 | 切手に見る紙のお話(paper) | Comments(0)
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